世界タイトルマッチ前夜

取材場所は都内の老舗ボクシングジム。リングの傍らに腰を下ろした王者の目は、静かだが鋭かった。

鈴木記者(以下、鈴木):世界タイトルマッチの前日、どんな気持ちでしたか?

王者(以下、王者):不思議と落ち着いていました。これだけ準備してきたんだから、あとはやるだけだって。でも試合直前、入場曲が流れた瞬間だけは震えましたね。

鈴木:ボクシングを始めたのはいつですか?

王者:小学4年生のとき。父親が連れて行ってくれた。最初はグローブが重くて、全然パンチが出なかった(笑)。でも先生が「一発に全てを込めろ」と言い続けてくれた。その言葉が今でも私のボクシングの核心にあります。

挫折と復活

鈴木:キャリアの中で最も辛かった時期は?

王者:20代前半、連敗が続いた時期です。「才能がないんじゃないか」と本気で思った。でも諦めなかった。毎朝5時に起きてロードワーク、夜は2時間のスパーリング。その積み重ねが今に繋がっています。

鈴木:日本ボクシングの未来についてはどう思いますか?

王者:明るいと思います。井上尚弥選手が世界に証明してくれた。日本人は技術と精神力で世界と戦える。私も次の世代に「夢は叶う」と伝えたい。

取材・文:鈴木麻衣(BUSHIDO編集部)